3つの原理を読んでの感想
ローレンス・トーブ氏の「3つの原理」を読みました。監訳は神田昌典さん。
神田さんの書籍は結構読んでいますが、お恥ずかしながらこの本のことは知りませんでした。
「儒教圏ブロック」という言葉は、どこかの神田昌典さんの本で出てきた記憶はあります。おそらく、神田さんに一定の影響を本書の内容が与えているのではないかと思います。
ちなみにこの本も先日参加した読書会で知りました。読書会のあとの読書量たるや、先月の倍以上になっている気がします。
さて、この本ですがタイトルどおり「3つの原理」が登場します。
1、カーストモデル
2、年齢モデル
3、性モデル
の3つです。この組み合わせによって、これまで世界がどのように動いてきたか?そして今後世界がどうなっていくのかを大胆に予想しています。
特に「カーストモデル」という考え方に多くのページが割かれて解説されています。
カーストというのは、ご存じの方も多いと思いますがインドの階級制度ですよね。最近では「スクールカースト」などと言って、学校のクラス内での階級が存在するみたいな話も耳にします。
カーストモデルはそのような階級制度の話ではなく、インドのカーストをベースに時代を代表する世界観で区分することができるという考え方です。
「精神・宗教の時代1」→「戦士の時代」→「商人の時代」→「労働者の時代」→「精神・宗教の時代2」と移り変わっていくそうです。
そして、今は商人の時代から労働者の時代へと移ったところで、精神・宗教の時代2も近づきつつある。というところだそうです。
そして、時代によって、主役となる国々も異なります。例えば戦士の時代の主役となるのはスペインとポルトガル。商人の時代の主役となるのはアメリカ、労働者の時代の主役となるには日本や中国などアジアの国々。
今は労働者の時代の頂点に向かいながらも、精神・宗教の時代2の入り口にも差し掛かっているそうです。時代は重なり合うことになるようで。
中国や東南アジアの国々の経済が伸びているのは事実ですので、この勢いを見る限りでは労働者の時代の主役がアジアの国々になるであろうことは、予想できそうなことではあります。
日本はすでに成熟期のような状態にはなっていますが、労働者の時代の前半は日本が経済を牽引してきたことも間違いはないでしょう。
そういう意味では、労働者の時代の予想をするのは決して難しいことではないと思われます。
ここから予想が当たるかどうか興味深いのは、労働者の時代のさらに先の「精神・宗教の時代2」です。
ここもまた、昨今の流れを見ていると、たしかにそういう時代になりつつあるのかなという気がしてくるのも確かです。
この本の著者の人も歴史を紐解いた上で、現状のトレンドを分析して、おそらくこういう時代になっていくんだろうなという推測の元に理論を作り上げたのだと思います。
ですが、それにしては言っていることがかなり具体的で興味を引かれます。
この本は2007年という、今から10年前に出版されたものですが、ISなどの宗教的な過激派が力を増し、イスラム圏の人たちが難民となることなども示唆しているのは先見の明があると感じました。
正直、この本に書かれている未来が実現したところで、そこで私達がどうあるべきかということは論じられていません。
ただ、今の時点で問題とされていることの多くは未来の世界では解決しているものの、未来になったらなったでそのときに対処すべき問題も出てくるので、未来の人たちもそのレベルでの悩みがあるので楽なわけではない。
ということは述べられています。
大きな世の中の流れとして主役となる国はアメリカからアジアに移っていき、さらにその先は中東からアフリカへと移っていく。
お金だけではなく、精神的なものが重視される時代になるという大まかなトレンドを知っておくことで、時代の変化に対処する覚悟ができるかなと。
そのくらいが分かれば十分なような気がしました。
未来予測の理論そのものは非常に興味深く面白いので、純粋に読み物として面白く読める1冊ではあると思いました。