モリヤ書房

大学卒業後、一度も就職することなくフリーランスになったWebマーケッターである私が日々学んだこと、考えたこと、伝えたいことをシェアします。書籍紹介記事多め。

「中学生棋士」を読んでわかった才能の伸ばし方

谷川浩司さんの著書「中学生棋士」を読んだ。
昨年は史上5人目の中学生棋士となった藤井聡太四段が大活躍でした。

そんな藤井さんの活躍を受けて、藤井さんを始めとした5人の「中学生棋士」について、日本将棋連盟の元会長であり、自身もプロ棋士でありかつ史上2人目の中学生棋士であった谷川浩司さんが語った1冊。

将棋のみならず、才能を活かすとはどういうことなのか?
という、教育や強み活用の方法論としても、とても説得力がありました。




歴代の中学生棋士たち

これまで中学生棋士として活躍してきたのは5名。
1人目は今年引退をした「ひふみん」の愛称でも親しまれている加藤一二三さん。

バラエティ番組などで見ていると、単なる面白いおじいさんなんですが、実は初めての中学生プロ棋士となった凄い人なのです。70歳を超えてもプロとして戦い続けてきた実績も凄い。

普通はその年齢になるまでには体力・気力ともに衰えて引退してしまうものです。
というか、負け続けていたらプロではいられない規定なので、高齢になっても加藤一二三さんは一定以上の勝率を保っていたということにほかなりません。

そんな人はいままで、いなかったんですね。

そして、2人目はこの本の著書である谷川浩司さん。
羽生善治さんが活躍するまでは谷川さんが将棋界のトップの実力だったと言っても過言ではないと言える人です。21歳で名人になるという、最年少名人記録を持っている人でもあります。

名人になるには最短でも5年かかるので、藤井聡太さんですらこの記録を塗り替えるのは簡単なことではありません。

また、今年辞任してしまいましたが、それまで日本将棋連盟の会長として将棋界を支えていた人でもありました。55歳となった今年も現役で勝率も高く最近はとても好調のようです。

3人目はご存知羽生善治さん。
将棋はよくわからないという人でも羽生さんのことは知っている人がほとんどだと思います。中学生で棋士になって以来、将棋の主要タイトルをすべて獲得する「七冠」を達成。当時は大ニュースになりました。

さらに今年は、それぞれの棋戦で決められた複数回のタイトルを獲得する条件を満たしたときに与えられる「永世」の称号をこれまた7つすべて獲得して「永世七冠」を今年達成。ニュースでも大きく報じられました。

4人目の中学生棋士は渡辺明さん。
羽生さんと同世代の棋士は「羽生世代」と呼ばれ強豪が多い中、そのあとに続く若手はなかなか活躍できない時期が長かったのですが、その中で一人活躍し、将棋のタイトルの中でも最高峰である「竜王」を獲得しました。

競馬やサッカーなどの趣味の話題に明るく、ブログを使った発信もされているということで、これまでの世代にはないトップ棋士としての在り方を示している一人です。

そして、5人目の中学生棋士は今年大ブームを巻き起こした藤井聡太さん。
前人未到の29連勝という記録をプロ棋士としてデビューして以来、1度も負けることなく達成して話題になりました。

話題性という意味では、これまで登場した中学生棋士の中でも、もっとも注目を集めた棋士の一人かもしれません。

今年は本当に将棋界はニュースが豊富でしたが、その集大成として「中学生棋士」を読んでみて、とても楽しめました。

才能の伸ばし方はあるのか?

才能を活かすってどういうことでしょうか?
私はウェルスダイナミクスの仕事に関わっていますし、ストレングスファインダーやエニアグラムなど、それ以外の性格診断や適性診断のテストも好きで興味を持って調べてきました。
 
テストから分かる強みもあるし、それなりに当たるのですが・・・
本書では才能を活かすことについて「情熱を持ってやり続けられること」が才能であると、伝えています。
 
藤井四段の例はもちろん、アメリカの伝説的メジャー・リーガーのテッド・ウィリアムズの逸話を例に、子供の頃から現実離れした量の努力を自ら進んでしていたことが紹介されていました。
 
それは誰かにやらされてやっていたわけではなく、本人がやりたいからやっていた。というもののようです。
 
そもそも、そのことに情熱を持ってやり続けること自体、生まれ持った才能なのかもしれませんが、その「情熱を持てること」に出会い、極めていけるだけの環境に育てるということは幸運なのかもしれません。
 
「野球なんかしないで」「将棋なんかしないで」もっと勉強しなさい!
と親から言われていたら、才能が開花する前に普通の子供になってしまっていたかもしれません。

そういう意味では親としては、子供が情熱を傾けられるものに出会えるよう、たくさんのことを経験させて世界を広げるきっかけを作ってあげる。子供が熱中できることが見つかったら、そのことに集中できる環境を提供する。
 
ことが大切なのかもしれませんね。
 

大人になってから才能を伸ばして活かすには?

そうは言っても、私もそうですし、この文章を読んでいる人のほとんどがそうだと思いますが、すでに子供ではなくなってしまった大人の人は才能を開花させることはできないのでしょうか?
 
たしかに、神童と呼ばれる天才になるには遅いでしょうね(笑)
でも、いつから始めても自分の才能を伸ばすことは可能ではないでしょうか。
 
そのヒントは、天才児たちの行動からも学ぶことができます。
結局、「情熱を傾けて進んで努力ができること」が才能を発揮できることである可能性が高いわけです。

すでに、そういったことと出会えているのであれば、遠慮なくそのことを突き詰めていく。仕事の分野でも、この分野に興味があると感じたことを極めていくことで才能開花に近づくことでしょう。

もし、そういった分野がないのであれば、いつからでも遅くないので本を読んだりいろんなことを体験したりして探していくことです。ウェルスダイナミクスやストレングスファインダーのテストを受けることでも、そういった分野探しのヒントにはなることと思います。

例えば、「社交的」というテスト結果が出てきた場合、やっぱり人と接したりコミュニケーションをしたりということが情熱である可能性が高いと思います。
そういう人がずっとデスクワークをしていたら、やっぱりつらいですよね。
 
仕事の中で、コミュニケーションや人との交流を活かせる要素を増やしていったり、それが難しければ転職するのも手だと思います。

才能とはそもそも何なのか?才能を開花させる方法

本書の中に出てきた、こんな言葉が印象に残りました。

「才能とは結局、自分が好きなことに時間をささげることが苦にならない情熱の深さの度合いなのだ」

「一つでも秀でた才能があれば、それを伸ばすことによって、人間は幸せになれるという考え方がある。さらに、人が鍛錬を続けて何らかの才能を開花させることは、社会全体にも利益をもたらすと考えられている」

「優勢な将棋を劣勢にしてしまうときは、勝つ方法が複数ある場合が多い。逆に勝つためには一つの道筋しかないときは間違いにくい。人生においても、成功への道が一つしかないときの方が、あれこれ迷うことも気の緩みが生まれることもなく、成功につながりやすいのではないか。」

1つのことに集中することでフローの状態になるというのはウェルスダイナミクスでも伝えていること。
 
将棋好きな私としては谷川さんの目から見た歴代の中学生棋士に対する考察が見れたことが純粋に読み物として面白かったです。

そして、「情熱を傾け続けることができることが才能である」という主張が歴代の中学生棋士の共通点としてあてはまるとのこと。

言われてみればそのとおりだなと思うし、多分そうなんだろうなと納得できます。
 
大人になってからも情熱を大切にして、いくことは自分の才能や適性を伸ばしていくためには大切。

何歳からでも遅くないので、好きなことを少しずつでも仕事や生活の中に取り入れることが自分の才能を活かし伸ばしていくことにつながるのではないでしょうか。

将棋のプロ棋士の世界を例にした、若くして才能に恵まれて活かしてきた人たちを事例とした才能の伸ばし方に触れた1冊。
読み物として面白かったですし、自分の才能を活かすためにどうあるべきかを考えるヒントになりました。