モリヤ書房

大学卒業後、一度も就職することなくフリーランスになったWebマーケッターである私が日々学んだこと、考えたこと、伝えたいことをシェアします。書籍紹介記事多め。

「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています」を無料で読んだので要約と書評を書いてみる

「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています」という気になるタイトルの本がAmazonプライムの会員だと無料で読めたので読んでみました。

哲学って好きなんですよね。

「ソフィーの世界」という本を中学生くらいのときに読んで、哲学ってなんかいいなーと憧れを持っていました(笑)

かといって、あまり日常生活に役立てていることもなく、教養として一応知識だけは少しあるという感じでした。

そんな哲学の考え方を、仕事や普段の生活の中に活かしていくための教えが語られていたのが本書「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています」なのです。

「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています」の要約

本書では、さまざまな悩みを取り上げて、「その悩みはすでに哲学者が過去に答えを出していることですよ」と該当する哲学者の理論を紹介していく流れになっています。

例えば・・・

仕事の分野の悩みへの回答

・将来、食べていけるか不安

・忙しい。時間がない

・お金持ちになりたい

・やりたいことはあるが、行動に移す勇気がない

・会社を辞めたいが辞められない

自意識・劣等感の悩みへの回答

・緊張してしまう

・自分と他人を比べて落ち込んでしまう

・ダイエットが続かない

・人の目が奇異なる・・・

人間関係の悩み

・友達から下に見られている

・嫌いな上司がいる・上司とうまくいっていない

・家族が憎い

恋愛・結婚の悩み

・恋人や妻(夫)とけんかが絶えない

・不倫がやめられない

・大切な人を失った

人生の悩み

・やりたいことがない

・毎日が楽しくない

・夜、孤独を感じる

死・病気に関する悩み

・死ぬのが怖い

・人生がつらい

・重い病気にかかっている

などなど・・・

これらの悩みについて、すでに哲学者たちが過去に悩みへの回答を見出しているということなのです。

特に、個人的に印象に残った解決方法について紹介してみたいと思います。

ジョン・スチュアート・ミルの功利主義をダイエットに応用する

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「ダイエットが続かない」という悩みの解消方法をジョン・スチュアート・ミルの思想から解決に導くという項目がありました。

これは、ダイエットに限らず、やりたいことがあるのに続けることができない。勉強たいとは思っているけど、ついつい遊んでしまう。

そんな、向上心と怠惰とのはざまでラクな方に流されてしまうことの多い私にはとても響いた考え方でした(笑)

産業革命期のイギリスで提唱された、「功利主義」という哲学を考えたのがミルです。

「功利主義」とは「生み出される幸福の量が増大する行動こそ正しく、苦痛の量が増大する行動はまちがっている」と考える哲学です。

「ダイエットが続かないこと」「ダイエットをサボること」というのは、その選択をすることで一種の快楽がもたらされます。

「運動をしなくていい」とか「甘いものや夜食を我慢せずに食べられる」といったものかもしれませんね。

ダイエットが成功することの幸福量よりも、目先の楽しみを取る方が幸福を感じやすいとも言えるかもしれません。

しかし、ミルが考えた快楽には「量」だけでなく「質」があると考えました。そして、人は2つの快楽が目の前にあるとき、「質」の高い方を選ぶのです。

「本当に?だったらなぜ、ダイエットが続かないの?」と思うかもしれません。

その理由は、本来「質」が高いはずのダイエットを成功させるという高いレベルの快楽があることを自分自身が知らないからだとミルは考えました。

「尊厳」という言葉を使って、人はひとたび高いとされる快楽を知ると、低い快楽に戻ろうとは思わなくなるのだそうです。だから、誘惑に負けて質の低い快楽を選択してしまうのは、「そもそも自分は質の高い快楽を知らない」と考えるのです。

成功するには成功体験が必要だという矛盾を解消する

この考え方を応用すると、ダイエットが続かないのなら、ダイエットを一度でも、意地でも続けて、やせてみたことがあるという成功体験があることが必要になります。

その成功体験が自分に「低級の快楽」を我慢させ、ダイエットを続けさせることになるプライドを与えるのです。

「いやいやいや!そもそもダイエットに成功できないから悩んでいるのに、ダイエットを続けるコツがダイエットを成功させることだなんて、どうにも解決できないでしょ!」

と、思われるかもしれません。

その場合、ダイエット以外で「目の前の誘惑を我慢して、何かをやり抜いた成功体験」を持っていれば良いとしています。

最近、ビジネスマンにとって筋トレや運動が大切だということや、早起きをすることが大切だというノウハウがよく言われていますね。

これもまた、ビジネス以外の分野でなにかをやり遂げる成功体験を積むことが、ビジネスそのものの成功に結びつけやすいというものなのかもしれません。

人それぞれ続けやすいことというのはあるものだと思います。

「続かないことは、そもそもやりたくないから続かない」そんなふうに言う人もいるし、たしかに一理あることでしょう。

ですが、ミルの言うように、「成功した先にある快楽が想像できない」から、やり続けることができずに、ほかのことをしてしまうのもあるのではないでしょうか?

私自身も、締切のある仕事は締切に間に合うようにやろうと意識が働きますが、いつでも良い仕事は後回しにしがちです。

本当は、やったほうが将来的に良い状態になることは分かっているつもりでしたが、実際はそれが想像できてなかったんだろうなと思います。

その場合は、そのことを続ける努力をしようとするよりも、ほかのことに挑戦して別の分野で小さな成功体験を積んでいくことが大切だと考えるようになりました。

「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています」の書評

哲学は、とても興味深い学問だとは思うのですが、学んだことを実際の生活に落とし込むことが難しい学問でもあるように思います。

さらには、多くの哲学の入門書などでは古代から時系列に沿って哲学を学んでいく構成のものも多いです。

それだと、自分に必要な学びに到達するまでに飽きてしまう可能性も高いでしょう。

その意味で、それぞれの悩みに対して、解決のヒントになる理論を考えた哲学者を取り上げて、回答していくこの形式はとてもわかりやすく実用的なように思います。

私自身も、自分自身が悩みを抱えていることに対するヒントが、それぞれ見えてきたので読んでみて非常に良かったです。

興味を持った哲学者の教えについては、その哲学者の著書をさらに読んでみて学びを深めていくのも良いですね。

各項目の最後には、取り上げた哲学者の著書の中から推薦図書として紹介をされているので、その一冊を手にとってみるのも良いでしょう。


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