佐藤航陽さんの「お金2.0」を読んだ感想
佐藤航陽さんの著書「お金2.0」を読んだ。
なにやら、注目されてる起業家の人なんだなーと佐藤さんのことを知ったのは昨年2017年でした。
メタップス代表取締役の佐藤航陽さん。
メタップスは著名人の時間を株のように見立てて取引するタイムバンクなどを提供しています。売上としてシェアが大きいのは決済システムのSPIKE(スパイク)などでしょうか。
代表である佐藤さんは、これまで何冊か著書を出していますが、今回の著書はずばり「お金」に注目したものでした。
佐藤さんは本書の冒頭で、
『この本は人生の方向性に迷っている人に対する自己啓発本でも、「こうすれば仕事の効率が上がる!」といったライフハック本でもありません。世の中はこう変わるといった未来予測を趣旨とする本でもありません。』
と断りを入れています。
「お金や経済とは何なのか?」その正体を佐藤さん自身が研究し考察し、実際のビジネスの中で検証してきた現時点での考え方を本にしたものということです。
実際、以前紹介した「新世代CEOの本棚」の中で、佐藤さんは「貨幣論」をおすすめの本として挙げていました。
思えばそのときから、彼のお金に対する研究は始まっていたのかもしれません。
「お金2.0」の著者の佐藤航陽さんは日本を代表する若手起業家?
先日、神田昌典さんの講演会「2022」に行ってきたのですが、そこで日本の未来を変えていくであろう起業家の一人として紹介されていたのが、佐藤航陽さんでした。
ポケモンが発売されたときに小学生だった「ポケモン世代」が、今後の日本を変えていく新世代だという、衝撃的な考えをそこでは知りました。そんな注目の起業家である佐藤航陽さんが考えるお金とはどんなものでしょうか?
テクノロジーを駆使したビジネスモデル
これからのお金を語る前提知識として、現代の最先端のテクノロジーを駆使したビジネスモデルが多く紹介されているのは本書の大きな特徴です。
一例を挙げれば仮想通貨、ビットコイン、ブロックチェーン、シェアリングエコノミー、AI、トークンエコノミー、自立分散、ベーシックインカム、自動化、脱中央集権などがキーワードとして紹介されています。
かといって、本書は最新のテクノロジーを紹介する本というわけでもないのです。キーワードとして、多くの最新テクノロジーの紹介こそされていますが、その仕組や具体的な掘り下げはあまりされていません。
その最新のテクノロジーの登場によって、お金に対する考え方がどう変わっていくのか?に大きなフォーカスが当てられていきます。
お金に対する価値観が変わっていくこと
結論を言えば、『「お金」には今までほど価値を置かない価値観が広まっていく』のだそうです。
これは、「お金」がなくなるわけではありません。お金は今まで通りツールとして残ります。1つの例で言えば、印刷技術が発明される前と後での「知識」のあり方のようなイメージになります。
それまでは、「知識」は人間の頭の中にしかあり、保管することができませんでした。知識は口伝で人から人へと伝わり、後世に残りました。知識を後世に伝えるためには、伝えられたことを正確に覚えて、それをまた後世の人に伝えなければなりません。
それでは、当然途中で間違って伝わったり、忘れてしまったりするので、情報の伝達速度は遅いものであったと思われます。
印刷の技術が発達したことで、「知識」は書籍の中に文字として残すことができるようになりました。それによって、大きな技術革新が起こります。
さらには、コンピューターが発明され膨大なデータを記録したり、さらにはそれをクラウド上で共有できるまでに技術が発達することで、「知識」に対する価値観は大きく変わりました。
「知識」が大切なことは今でも変わりません。しかし、「知識」を自分の頭の中だけで覚えておく必要はもはやなく、情報収集の仕方や情報整理の仕方、そして何よりも「知識」をどう使っていくかが大切になってきています。
今度は「お金」が知識のように、大切ではあるけども今までとはまた違った感覚で扱う必要のあるツールになっていくようです。
お金はこれからどうなるのか?
では、今後の「お金」はどうなのか?
資本主義は「お金」に大きなフォーカスが当てられますが、今後は必ずしも「お金」だけにフォーカスが当てられる時代ではなくなるかもしれないのです。
そのときに、フォーカスが当たるのは「価値」そのものになります。
「価値」を「お金」に変換するのが今まで以上に簡単になっていく。だからお金を必ずしもお金やお金に換金可能な資産(株や不動産など)の形で持っている必要もなくなります。
この話を聞いて、ウェルスダイナミクスの中に出てくる「内的価値」の話を思い出しました。
まさに、これからは今まで以上に「内的価値」がダイレクトにビジネスに直結するようになる時代になっていく可能性が高いだろうなと感じたのです。
内的価値とは、『情熱、才能(スキル)、知識、人脈、人格(信頼・ブランド)、目的』の6つからなります。
本書の中でも価値は、「スキル、経験などの有用性としての価値」「共感や好意などの内面的な価値」「共同体の持続性を高める社会的な価値」などが挙げられています。
これらは、まさにウェルスダイナミクスで内的価値と呼ばれるものです。
内的価値はとても大切なものですが、それだけではお金に換えることはできない価値です。
その内的価値をベースにお金と交換することができる商品やサービス「外的価値」を生み出すことで、お金に換えることができます。
そのあたりのお金を生み出すアルゴリズムに関しては本書ではあまり詳しく触れられていなかったように感じますが、価値を高めておけばいつでもお金に換えることができる。
なので、これからはお金を第一に考えるよりも、自分の価値を高められる選択をしていくのが、お金に困ることのない生き方になる。
嫌なことをするのではなく、本当に熱中できることに熱中している人にお金が簡単に集まる時代になるということでした。
「お金2.0」の書籍そのものには、さまざまなテクノロジーやビジネスの事例など紹介されていましたが、本当に重要なのはそこではなくて、そういったテクノロジーが発達した結果として、お金に対する考え方が次の段階へ行くというのが佐藤さんの考える仮説だったように感じられます。
そのときに、私達はどうしていけばいいか?
仕事を選ぶときに「お金を稼げるかどうか?」と第一の基準として選択するのは、あまり将来を考えると賢い選択ではなさそうです。
この仕事を通して、
「どれだけ自分の価値を高めることができるのか?」
しかも、その価値は単にスキルや知識が身につくというだけではなく、「今まで重要視されなかった内的な価値も含めて価値を高めていけるかどうか?」を考える必要がありそうです。
お金以外の価値
お金そのものは大切だし、生活していけないほど困窮している状態なら、まずはお金を稼ぐことの優先順位を上げる必要はあるかと思います。
しかしながら、最低限の収入があるのであれば、その先は自分の情熱を中心に心から熱中できることに取り組んでいくことが、すぐにはお金にならなくても結局は多くのお金を引き寄せてくれる。
そもそも、お金はそれほど必要ない世の中になっていくけど、必要があればいつでもお金を作ることができるような、そんな世の中になっていきそうです。
実際、なにかやりたいことがあるけどお金が足りない。という状況のときに、価値の高い人であればクラウドファンディングを募って必要なお金を集めることができます。
そのときの価値というのは、そのお金の利用目的が出資する人にとって「応援したいな」と思えるような共感できる使い方であるかもしれないし、お金を集める人を応援してくれる人脈であるかもしれません。
単にお金を稼ぐだけでなく、「そのお金を何に使っていくのか?」「誰のためにお金を使っていくのか?」など、お金の使いみちやビジョンの浸透がいっそう大切な世の中になっていきそうです。
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斬新な佐藤航陽さんの発想に触れてみてください。